イムデトラ点滴静注用10mg

添付文書情報2025年04月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 重度サイトカイン放出症候群及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと〔8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
1.3. 重度サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと〔7.2、8.2、11.1.1参照〕。
1.4. 重度神経学的事象(重度免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと〔8.3、8.4、11.1.2参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- がん化学療法後に増悪した小細胞肺癌。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤の一次治療及び二次治療における有効性及び安全性は確立していない。
- 用法・用量
- 通常、成人にはタルラタマブ(遺伝子組換え)として、1日目に1mg、8日目に10mgを1回、1時間かけて点滴静注する。15日目以降は1回10mgを1時間かけて2週間間隔で点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 本剤投与によるサイトカイン放出症候群を軽減するため、1日目及び8日目の本剤投与前1時間以内に副腎皮質ホルモン剤を静脈内投与すること(また、1日目、8日目及び15日目の本剤投与後に輸液を行うこと)〔1.3、7.4、8.2、11.1.1参照〕。
7.3. 副作用が発現した場合は、次の基準を参考に本剤を休薬又は中止すること。
1). サイトカイン放出症候群:
①. Grade1のサイトカイン放出症候群又はGrade2のサイトカイン放出症候群:回復するまで休薬する。
②. Grade3のサイトカイン放出症候群:a.回復するまで休薬する、b.Grade3のサイトカイン放出症候群が再発した場合は、投与を中止する。
③. Grade4のサイトカイン放出症候群:投与を中止する。
2). 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群:
①. Grade1の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群又はGrade2の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群:回復するまで休薬する。
②. Grade3の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群:a.回復するまで休薬する、b.1週間以内にGrade1以下に改善しない場合、又はGrade3の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が再発した場合は、投与を中止する。
③. Grade4の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群:投与を中止する。
3). 好中球減少:
①. Grade3の好中球減少:a.Grade2以下に改善するまで3日間以上休薬する、b.3週間以内にGrade1以下に改善しない場合は、投与を中止する。
②. Grade4の好中球減少:a.Grade2以下に改善するまで3日間以上休薬する、b.1週間以内にGrade1以下に改善しない場合、又はGrade4の好中球減少が再発した場合は、投与を中止する。
4). その他の副作用:
①. Grade3の副作用:a.Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬する、b.4週間以内に回復しない場合は、投与中止を検討する。
②. Grade4の副作用:投与中止を検討する。
サイトカイン放出症候群及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群は、米国移植細胞治療学会(ASTCT)コンセンサス(2019年)に、好中球減少及びその他の副作用はNCI-CTCAE version5.0に準じる。
7.4. 副作用等の理由による休薬後に本剤を再開する場合の用量は、次を参考に投与すること。投与再開後の投与スケジュールは、用法・用量に準じること〔7.2参照〕。
1). 最終投与日1日目及び投与量1mg:
①. 最終投与日1日目及び投与量1mg、休薬期間14日以内の再開時の用量:8日目の投与量(10mg)*※。
②. 最終投与日1日目及び投与量1mg、休薬期間14日超の再開時の用量:1日目の投与量(1mg)*※。
2). 最終投与日8日目及び投与量10mg:
①. 最終投与日8日目及び投与量10mg、休薬期間21日以内の再開時の用量:15日目の投与量(10mg)※。
②. 最終投与日8日目及び投与量10mg、休薬期間21日超の再開時の用量:1日目の投与量(1mg)*※。
3). 最終投与日15日目以降及び投与量10mg:
①. 最終投与日15日目以降及び投与量10mg、休薬期間28日以内の再開時の用量:29日目以降の投与量(10mg)。
②. 最終投与日15日目以降及び投与量10mg、休薬期間28日超の再開時の用量:1日目の投与量(1mg)*※。
*)本剤投与前1時間以内に副腎皮質ホルモン剤を静脈内投与すること。
※)本剤投与後に輸液を行うこと。
- 生殖能を有する者
- 8.1. サイトカイン放出症候群及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群は投与初期に多く認められることから、少なくとも1日目及び8日目は、本剤投与開始から24時間は必ず入院管理とし、1日目投与24時間経過後及び15日目以降の投与後も患者の状態に応じて入院管理を検討すること〔1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.2. サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、次の事項に注意すること〔1.3、7.2、11.1.1参照〕。
8.2.1. サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。
8.2.2. 本剤の投与中は発熱、低血圧、低酸素症、疲労、頻脈、頭痛、悪寒、悪心、嘔吐等について、観察を十分に行うこと。サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.2.3. サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
8.3. 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあるので、本剤の投与中は、失語症、意識レベル変化、認知能力障害、筋力低下、運動失調、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。また、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること〔1.4、11.1.2参照〕。
8.4. 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)として意識レベルの変化、痙攣発作等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること〔1.4、11.1.2参照〕。
8.5. 血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.3参照〕。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:治療域の狭いCYP基質(カルバマゼピン、キニジン、シロリムス等)[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の初回投与から3回目の投与前までの間、及びサイトカイン放出症候群発現時から発現後の一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. サイトカイン放出症候群(52.6%):異常が認められた場合には、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと〔1.2、1.3、7.2、8.1、8.2参照〕。
11.1.2. 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む):免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(5.3%)、筋力低下(3.0%)、失語症(0.8%)、意識レベル低下(0.8%)等の神経学的事象があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤の投与等、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと〔1.2、1.4、8.1、8.3、8.4参照〕。
11.1.3. 血球減少:貧血(13.5%)、リンパ球減少症(7.5%)、好中球減少症(6.0%)、血小板減少症(4.5%)、発熱性好中球減少症(0.8%)等があらわれることがある〔8.5参照〕。
11.1.4. 間質性肺疾患:肺臓炎(0.8%)等があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症および寄生虫症:(5%未満)カンジダ感染、膀胱炎、感染、中耳炎、肺炎。
2). 内分泌障害:(5%未満)副腎機能不全、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症。
3). 代謝及び栄養障害:(15%以上)食欲減退(26.3%)、(5%未満)低ナトリウム血症。
4). 精神障害:(5%未満)錯乱状態、譫妄。
5). 神経系障害:(15%以上)味覚不全(27.1%)、(5%未満)振戦、神経毒性。
6). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(5%未満)呼吸困難。
7). 胃腸障害:(5%以上~15%未満)便秘、悪心。
8). 肝胆道系障害:(5%未満)高ビリルビン血症、胆汁うっ滞、肝機能異常、肝炎、高トランスアミナーゼ血症。
9). 皮膚および皮下組織障害:(5%以上~15%未満)発疹、(5%未満)斑状丘疹状皮疹。
10). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(15%以上)発熱(32.3%)、疲労、無力症、(5%未満)注射部位発疹。
11). 臨床検査:(5%以上~15%未満)ALT増加、AST増加、(5%未満)血中ビリルビン増加、トランスアミナーゼ上昇、肝酵素上昇、血中甲状腺刺激ホルモン減少。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠マウスにおいて、静脈内投与したマウスサロゲート分子が胎盤関門を通過し、ヒト免疫グロブリンG(IgG)及びIgG由来結晶化フラグメント(Fc)ドメインを構成するタンパク質は、胎盤関門を通過することが知られており、本剤はT細胞の活性化及びサイトカイン放出を引き起こすことにより妊娠維持を妨げる可能性がある)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. [本剤溶解液の調製に必要な注射用水の量]に示す必要量の注射用水を本剤のバイアルの内壁に沿って無菌的に注入し、振らずに内容物を緩徐に撹拌し、溶解すること。
[本剤溶解液の調製に必要な注射用水の量]溶解に必要な注射用水の量4.4mL、最終濃度2.4mg/mL。
14.1.2. 輸液安定化液を本剤の溶解に用いないこと(輸液安定化液は本剤が輸液バッグや輸液チューブに吸着するのを防ぐものである)。
14.1.3. 本剤を溶解した溶液に粒子状物質及び溶解中の変色がないか目視確認を行うこと(本剤の溶液は無色~微黄色の澄明~乳白色の液であり、本剤の溶液が濁っている場合又は粒子状物質が認められる場合は使用しないこと)。
14.1.4. ポリ塩化ビニル(PVC)、エチル酢酸ビニル(EVA)又はポリオレフィン製の輸液バッグを使用すること。ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン又はポリウレタン製の輸液チューブ及びカテーテル材料を使用すること。
14.1.5. 生理食塩液250mLを含む輸液バッグから[注射液の調製法]に示す量の生理食塩液を抜き取った後、[注射液の調製法]に示す必要量の輸液安定化液を無菌的に加え、溶液が泡立たないよう緩徐に撹拌する。輸液安定化液の未使用残液は適切に廃棄すること。
14.1.6. 14.1.1で本剤を溶解したバイアルから[注射液の調製法]に示す必要量を取り出し14.1.5で調製した輸液バッグに無菌的に加え、溶液が泡立たないよう緩徐に撹拌する。本剤溶解液の未使用残液は適切に廃棄すること。
[注射液の調製法]抜き取る生理食塩液量17mL、輸液安定化液注入量13mL、本剤溶解液注入量4.2mL。
14.1.7. 室温では本剤の溶解から投与終了まで8時間を超えないこと(すぐに投与開始しない場合は、注射液を冷蔵保存(2~8℃)し、冷蔵保存する場合は7日間を超えないこと)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 輸液バッグから空気を抜き、生理食塩液又は調製した溶液で輸液チューブをプライミング後、輸液ポンプを用いて250mL/時の注入速度で1時間かけて点滴静注すること。投与後は輸液チューブを生理食塩液で3~5分かけてフラッシュすること。
本剤は外箱に入れた状態で保存すること。外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。
16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある小細胞肺癌患者(日本人を含む)に、4週間を1サイクルとして、タルラタマブ0.003~1mgを2週間間隔で静脈内投与、又はタルラタマブを1日目に1mg、8日目に3~100mg、15日目以降は3~100mgを2週間間隔で静脈内投与した注)。評価した用量範囲において、血清中タルラタマブ濃度はおおむね用量比例的に増加した。タルラタマブを1日目に1mg、8日目に10mg、15日目以降は10mgを2週間間隔で静脈内投与したときの血清中濃度時間推移を添付文書の図1に、サイクル2における薬物動態パラメータを表1に示す。
注):本剤の承認用法・用量は、次記のとおりである。
通常、成人にはタルラタマブ(遺伝子組換え)として、1日目に1mg、8日目に10mgを1回、1時間かけて点滴静注する。15日目以降は1回10mgを1時間かけて2週間間隔で点滴静注する。
表1 タルラタマブを静脈内投与したときの薬物動態パラメータ(サイクル2)
→図表を見る(PDF)
図1 タルラタマブを静脈内投与したときの血清中濃度時間推移(1~26例、平均値±標準偏差)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第II相試験(20200491試験、DeLLphi‐301試験)
2つ以上の化学療法(うち、少なくとも1つは白金系抗悪性腫瘍剤を含む)歴のある小細胞肺癌患者を対象とした非盲検国際共同第II相試験において、133例(日本人患者11例を含む)に本剤を1日目に1mg、8日目に10mg、15日目以降は10mgを2週間間隔で静脈内投与した。
主要評価項目とされた有効性解析対象集団(99例)におけるRECIST ver.1.1に基づく盲検下独立中央判定による奏効率は、41.4%(97.5%信頼区間:30.3、53.2)であった(2023年6月27日データカットオフ)。
本剤10mgが投与された133例中122例(91.7%)に副作用が認められ、主な副作用は、サイトカイン放出症候群(52.6%)、発熱(32.3%)、味覚不全(27.1%)、食欲減退(26.3%)、疲労(17.3%)、無力症(15.8%)等であった。
18.1 作用機序
タルラタマブは、デルタ様リガンド3(DLL3)及びCD3に結合する遺伝子組換えタンパクである。タルラタマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3と小細胞肺癌(SCLC)細胞の細胞膜上に発現するDLL3の両者に結合することによりT細胞を活性化し、DLL3を発現する腫瘍細胞を傷害すると考えられる。
18.2 抗腫瘍効果
タルラタマブは、ヒト末梢血単核球の存在下において、DLL3を発現するヒトSCLC由来細胞株(SHP‐77等)に対して細胞傷害作用を示した(in vitro)。
タルラタマブは、SHP‐77細胞株を静脈内移植し、ヒトT細胞を腹腔内移植したインターロイキン2受容体γ鎖が完全欠損した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した(in vivo)。
- 製造販売会社
- アムジェン
- 販売会社
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